吉澤嘉代子さんといえば、
世界観に入り込んでしまう、情景描写の素敵な歌詞、
どこか懐かしく感じるノスタルジックな曲、
切なく歌い上げる声。
関ジャムでも取り上げられていた「残ってる」はみなさんカラオケでもよく耳にするんじゃないでしょうか。
まだ あなたが残ってる
からだの奥に残ってる
ここもここもどこもかしこも
あなただらけ
でも忙しい朝が連れて行っちゃうの
いかないで いかないで いかないで
私まだ 昨日を生きていたい
引用:https://www.uta-net.com/song/236342/
吉澤嘉代子さんは埼玉県出身1990年6月4日生まれのシンガーソングライター。
そんな吉澤嘉代子さんが”女性”をテーマに、主人公の性(せい)と性(さが)を描いた4th Album「女優姉妹」を2018/11/7にリリース!!
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どうしようもない部分というかその人が抱えている性(さが)をひっくるめて女性という意味で書きたいなと思いました。
物語の中で美しく終わらせようとしてたんですけど
それをひっくり返して正体をばらして終わらせるのが
女性をテーマにするなら潔くていいかなって
ー今回のアルバムのコンセプトの「性(せい)と性(さが)」っていつ頃決まったんですか?
1年半前に たなかみさきさんとのインタビューでも性の事についてお話しているのでその時くらいからアルバムコンセプトを意識し始めたのでしょうか?
そうですね。たなかさんとの対談の時にはかなり固まってました。
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ー例えば、女性の性(せい)と性(さが)ってどういう部分ですか?
性(せい)っていうと今回は、朝帰りだったりとか主人公がポルノ女優だったりとかの部分が性というものを意識した選曲になっています。
でもそれだけではアルバムが成立しないなと思ったので、どうしようもない部分というかその人が抱えている性(さが)をひっくるめて女性という意味で書きたいなと思いました。
貴方の嘘に鋭くなって
心の感度が鈍くなるの
女優/吉澤嘉代子
ー吉澤さんは、いつも曲名を決めてから曲を作ると聞いたのですが、「よるの向日葵」ってなんで”よる”の部分が平仮名なんですか?
アルバムの中で曲名を並べた時にあまりにも夜感が出るのは嫌だなと思って、平仮名にすると記号感が出るので夜感を削るために平仮名にしました。
ちょっと童話っぽくなるかなって。
元々、表記が凄く好きなんですよ。
漢字ひらがなカタカナのバランスをいつも凄くこだわっていて、そのフェチが出てますね。
ー曲順のこだわりとかもありますか?
1曲目はこのアルバムを象徴するようなサウンドの曲を入れたくてオープニングのようなつもりで入れました。
そこから主人公が色々な職種に成り代わっていくみたいに前半は進んでいって、「ミューズ」は戦う人への答えとして置いて、その後はひょうきんな感じで進んでいく…といった曲順にしました。
ー「最終回」は”この曲をアルバムの最後にするぞ!”という事でタイトル名をつけたんですか?
この曲は前からあった曲なんですよ。
最初は「残ってる」をラストにして物語の中で美しく終わらせようとしてたんですけど、それをひっくり返して正体をばらして終わらせるのが女性をテーマにするなら潔くていいかなって思って、アルバムの最後に「最終回」を入れました。
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ーアルバムの中で1番お気に入りの曲とそれについてのエピソードをお聞かせください。
1曲目の「鏡」が好きですね。
中学生くらいの、女子校に通う女の子同士の友情というか恋愛未満 友情以上の曖昧な
関係を書きたいなと思ってアルバムに入れるために作りました。
夏にファミレスとかで書いてたんですけど、ちょうど私の曲も全て網羅していてツアーとかも全部来てくれる友達をファミレスに誘って一緒に歌詞を書いてたんです。
「ここ手癖が出てるから書き直した方がいいよ」とか的確なコメントを言ってくれるので、そのおかげで自分が好きなシチュエーションだけど今までには無いような表現が生まれました。
小説みたいな曲を作りたいなと思っています。
小説を読む時には、
”作者ってこんな事を考えてるのかな”
とか思いながら読まないじゃないですか。
作品の世界観に入っているので。
ー「鏡」の歌詞ってどれくらいで出来たんですか?
何十時間もかかりましたね。
毎日9時間くらいやってました。正確な時間は分からないんですけど相当費やしましたね。
ー他の曲はどれくらいで出来たんですか?
全部そのくらいはかかってますね。
ー歌詞はどうやって作るんですか?曲が先?詞が先?
詞が先ですね。
何か意味が無いとメロディが生まれなくて、私は言葉に引っ張られて曲が生まれるんです。
書きたい対象が無いとメロディが生まれない。
ー歌詞なんですけど、”現代の言葉を使わないように”とかって意識してますか?「三つ編みを解き合う」とか「ハンカチーフ」とかそういう言葉が散りばめられてますよね。
今の時代を切り取る言葉は、あまり使わないようにしてますね。
どの時代なのか分からないような言葉で書いた方が、時代感が薄れて古くなりにくいと思っているので、それを意識して言葉選びをしてますね。
ーずっと歌い続けたいしずっと聴き続けてもらいたいですよね。
そうですね。
時代に沿ってたりとか感情を切り取ったような歌詞も魅力的ですけど、自分が成長した時に、”あの曲は今は歌えないな”っていうのが出てしまう気がして…。
小説を読む時には、”作者ってこんな事を考えてるのかな”とか思いながら読まないじゃないですか。作品の世界観に入っているので。
それが作り物の良さだと思っているので、小説みたいな曲を作りたいなと思っています。
ー吉澤さんは自分の事はどういう性格だと思いますか?
私は、ものすごく忘れっぽいんです。
なので忘れるのが怖いのですぐメモをとりますね。やる事リストとか計画とか。
ーマネージャーさんは吉澤さんの性格をどう思いますか?
マネージャー)たしかに仕事に対して真面目です。プライベートの部分は面白いと思いますね。
”あ!そういう考え方もあるんだね”って良い意味でビックリさせられますね。人と視点が違いますね。
自分の大切なもの(音楽)を見つけたので、高校時代は音楽をずっとやってました。
高校に行くっていうのは夢がいっぱい詰まっていて、
でも高校生も上手くいかなかったらどうしようっていう
恐怖心もどっちもあったんですけど。
ー高校生の時は何をしていましたか?
私は、中学校までずっと学校に行ってなかったんです。
だから高校に行くっていうのは夢がいっぱい詰まっていて、でも高校生も上手くいかなかったらどうしようっていう恐怖心もどっちもあったんですけど。
1つ決めてた事は、高校生になったら軽音楽部に入ってバンドをやろうって事だったんです。
なのでバンドを組んで、そこで曲を作るようになったんですよ。
そこから人生が変わったというか自分の大切なもの(音楽)を見つけたので、高校時代は音楽をずっとやってました。
ー1番最初に曲を作ったときの事は覚えてますか?
男女の視点で交互に視点が移り変わっていくような、「木綿のハンカチーフ」みたいな曲を作りました。
詞が先でしたし、当時から物語調でした。
ーバンドでコピーとかはしなかったんですか?
してましたね。大好きなサンボマスターの曲とか。
コピーも色々やってましたが、オリジナルの方が多かったですね。
ーその時には音楽で食べていこうと思ってたんですか?
思っていても口に出すのが恥ずかしくて隠してたんですけど、その時に応援してくれていた人が「夢は言葉にしなきゃ叶わないんだよ」って言ってくれて。
それで、担任の先生のところに行って”私は音楽を仕事にしたいです”って伝えたら涙がボロボロ溢れて来て、身体の底から熱が湧いて来たんです。
その時に、”私はこんなに音楽を仕事にしたいって思ってたんだな”って自分で改めて思いました。
”歌詞に責任を持てるようになりたい”と思い、言葉を学びたいので大学(日本文学科)に行きたいという事を両親にお願いしました。
吉澤嘉代子さんのスキナモノ
好きな食べ物
お寿司
(ハマチはどこで食べても基本ハズレが無い。)
嫌いな食べ物
ピーマン
好きな飲み物
チャイ
(大好きです。)
嫌いな飲み物
お酒は少し苦手です。
(体質的に苦手。2杯以上飲んだ事が無い。)
好きな映画
ソフィーの世界
(子供の頃に見た時に、主人公を見て自分に重なる部分があったのでそれからずっと好きです)
映画館に見に行くのが好きです。
最近だと、「プーと大人になった僕」とか「カメラを止めるな!」とかを見ました。
「カメラを止めるな!」は、すごい意表をついてくるというか作り手の愛情みたいなものを感じて、まったく別の畑ですけどそういう作品を見ると熱くなります。
好きな小説
いしいしんじ「ぶらんこ乗り」
すごく好きです。
お姉ちゃんと弟の話で、お姉ちゃん視点で描かれてるんですけど、私にも大事に思っている弟がいるので、なんかこの作品を見てると泣けてきますね。
好きな色
白・赤
好きな場所
王子(東京)
都電が通っていて街が風情が合って好きです。
春は飛鳥山公園の桜が綺麗で、梅雨の時期は紫陽花が綺麗なので、季節ごとに行きます。
月島
開発されたビルとかマンションの街並みと、昔ながらの下町が合わさってるのが不思議な感じがして好きですね。
長崎
街並みが異国情緒があってレトロで好きです。映画の中の様な街並み。
今いちばんやりたいこと
旅行。クロアチアの建築とか自然を楽しみたい。
古い建物とか洋館とか好きですね。
そういうところに行って住んでた人の事を考えて色々妄想しますね。
一緒に行ってる友達に”自分の世界に入ってるよ!”ってつっこまれます(笑)
好きな休日の過ごし方
新しい物語(映画とか小説とか)を取り入れたりしたいですね。
昨日は整体に行きました。
あと友達と近所で会ったりしますね。
ご飯に行ったりボーリングしたり。スコア100は越えます。
ーシンデレラWEBを見てくれている女子高生のみんなにメッセージをお願いいたします。
私が17才の頃に作った俳句があって
甘くもない 辛くもないな セブンティーン
っていうのがあって。
JKの期間って、すごく魅力的な時間として世の中でも言われてると思うのですが、その渦中にいると特別なものだとも思えないし、意外と苦かったりしょっぱかったりする時間だったなって記憶しています。
気持ちとかも浮き沈みが激しかったりして苦しい時期だと思うのですが、大切な時間には変わりないと思うんですよね。
居心地よく毎日過ごして欲しいです。
しんどい事や大変な方を選べとか言われたりするかもしれないんですけど、私はそんなことないと思ってます。
私は、学校とかコミュニケーションから逃げてきた人生だったんですけど、その逃げた先で今の仕事に繋がる歌と出会えました。
なので、逃げることが絶対に悪いわけじゃなくて、またどうしたって人生は進んで道になっていくので、どうせなら楽しい方に生きて欲しいと思います。
ーありがとうございました!
取材:青山あやか
吉澤嘉代子オフィシャルサイト
http://yoshizawakayoko.com/s/y07/?ima=4805
吉澤嘉代子ツイッター
https://twitter.com/yoshizawakayoko